視覚支援部だより
平成21年度 クローバー 第3号
秋田県立盲学校 視覚障害支援部だより
平成21年11月18日発行
視覚障害支援・理解啓発部門について
理解啓発部門 渡邊 明(わたなべ あきら)
本校を利用する方々には、「もっと早く盲学校を知りたかった。」という人が少なくありません。視力で悩んでいる方々に、グッズの紹介や盲学校の教育について知ってもらう機会を、少しでも多く増やしていかなければと思っています。視覚障害についてや、本校を知ってもらうための取り組みをいろいろ実施していますが、現在までのところについて報告いたします。
◎校外教育相談、視覚障害補助具等展示会「あいあい広場」
期日、場所、訪れた方々の人数の順
第1回 6月27日(土曜日) 秋田組合総合病院(秋田市) 79名
第2回 10月18日(日曜日) 秋田県立衛生看護学院(横手市) 120名
第3回 10月25日(日曜日) 秋田看護福祉大学(大館市) 97名 合計人数296名
◎ 「総合的な学習の時間」への支援
期日、校名、参加児童数の順
第1回 8月21日(金曜日)金足西小(かなあしにししょう) 11名
第2回 9月2日(水曜日)寺内小(てらうちしょう) 70名
第3回 9月24日(木曜日)下北手小(しもきたでしょう) 21名
合計人数103名
◎ その他の支援、各校に出向いての支援(「心を育てる教室」等)
期日、グループ(または学校)、参加人数の順
第1回 9月29日(火曜日) 音訳ボランティア 13名
第2回 10月8日(木曜日) 視能訓練士 2名
第3回 9月11日(金曜日)仙北(せんぼく)中学校 約200名
第4回 11月11日(水曜日)豊川(とよかわ)小学校 約90名
小学校では4年生で学習する「点字」をきっかけに、「盲学校へ出かけてみよう」というきっかけが多いようです。今年度増えたのが、全盲の先生の出前講座です。「心を育てる教室」で自分自身をすべてさらけ出して話さなければならないため、とてもエネルギーが必要だったとの本人の感想でしたが、「見えなくても・見えにくくても」「勇気を持って生きること」が、うまく伝わったでしょうか。
総合支援エリアに、ズームイン!!
◎ 盲学校に高等部専攻科「生活情報科」を新設
盲学校では「こども総合支援エリア(仮称)」に移転する平成22年4月、見えない、見えにくい方に対して、QOL(生活の質)の向上と生活技能の習得を支援することを目的に、高等部専攻科生活情報科を新設することになりました。
この生活情報科は1年間ですが、一定期間の生活技能体験など、一人一人の実情に応じた対応ができるような柔軟なカリキュラムとなっています。
また、指導内容は、個別に学習内容のプログラムを作成し、@移動・歩行に関する学習(白杖による歩行等)
A日常生活動作に関する学習(身辺処理や調理等)
B情報・コミュニケーションに関する学習(点字による読み書き、拡大読書器やルーペの使用、パソコンの使用等)を行う予定です。
なお、高等部専攻科とありますが、成人の方の入学が可能です。入学条件や詳しいことをお聞きになりたい方は、どうぞ遠慮なく盲学校へ御連絡ください。(018-846-2540)
◎ 新特別支援学校の名称は、『秋田県立秋田きらり支援学校』
新住所は、010-1407 秋田市上北手百崎字諏訪ノ沢3番127(3校同じ)
グッズの紹介
丸穴爪削り器(まるあな つめけずりき)
写真は、左手親指と人差し指ではさみ、右人差し指の爪を削っている ところです。
爪切りは、怖い! 深爪にいつも悩まされる方に。安全・きれい・便利〜感覚で爪を処理できます〜
爪を丸穴に軽く当て、爪の幅方向になぞるように動かします。値段は800円ですが、まとまれば、まだ安くなるそうです。
製造元 タカハシ金型(かながた)サービス
175-0092 東京都板橋区赤塚7-19-20
TEL・FAX03-3979-6532
注意:柔らかい爪、爪の変形は丸穴削り器でなく、ヤスリを使ってくださいとのこと。
足の爪に最適!『ラウンドタイプつめヤスリ』
大きさ 「大」800円 「小」の手の指用 500円
株式会社大活字 TEL03-3259-2200 10時〜18時(水・祝日除く)
FAX03-5282-4362 24時間
〜 ロービジョンQ&A 〜
視能訓練士(ORT)田中先生がお答えしま〜す。
Q(クエッション)1 5歳の男の子です。眼鏡をかけなくても、0.05。かけても0.05。本人が眼鏡をかけることをいやがります。そのままにしてもいいでしょうか?
A(アンサー) 子どもの視力は、網膜にピントの合った像(ぞう)を見ることで育ちます。視力の数値が変わらなくても、屈折(くっせつ)異常(特に遠視)は眼鏡でしっかり矯正してあげてください。遠視では眼鏡に慣れるまで時間を要することがあります。眼鏡をかけたり外したりでは、なかなか慣れることができないので、休むときには枕元に眼鏡を置いて、目覚めたらすぐに眼鏡をかけるようにしましょう。
Q2 糖尿病で目が見えなくなることがあると聞きました。私は10年以上前から糖尿病ですが、今のところ見えなくて困ることはありません。糖尿病の目では最初にどんな症状が出ますか?予防方法はありますか?
A 糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状がありません。視力低下や飛蚊症(ひぶんしょう)などで「目がヘンだな」と思ったときにはすでに治療が難しい状態であることも少なくありません。初期の段階で発見し、治療のタイミングを逃さないためには、自覚症状がなくても定期的(半年〜1年毎)に眼科で眼底検査を受ける必要があります。もちろん、血糖のコントロールも重要です。
〜 視覚障害のある方の歩行Q&A 〜
歩行指導員 菊地先生がお答えしま〜す。
Q1 県南(けんなん)に住むものですが、杖(つえ)を使って歩行ができるように訓練をしてもらえますか?
A 盲学校サテライト教室(あいあいサポート)をご活用ください。月1回、大館地区、大仙(だいせん)地区、湯沢地区の県内3カ所にて、盲学校職員が教育相談、相談支援を行っています。この中で、見え方にあった安全な歩き方、頭や体に物が衝突するのを防ぐための防御姿勢などについて、一緒に練習をします。
Q2 小学校教員ですが、子どもたちに視覚障害者の歩行体験をさせたいと思いますが、何かいい方法がありますか?
A シミュレーションレンズ(視覚障害疑似体験レンズ)やアイマスクを使用しての歩行体験等をお手伝いします。担当の先生とご相談しながら体験プログラムを作成します。子どもたちには、視覚障害体験を通して「自分だったらこんなことができる」「こんな言葉かけができる」などを考えてほしいと思います。
※ 盲学校サテライト教室(あいあいサポート)相談支援の実施について
大仙地区(第2水曜日) 大仙市大曲交流センター 13:30〜15:30
大館地区(第3水曜日) 大館市交流センター 13:30〜15:30
湯沢地区(第4水曜日) 湯沢生涯学習センター 13:30〜15:30
詳細については、秋田県立盲学校にお問い合わせください。
あいあい広場から
あいあい広場で聞かれる質問の中に、身体障害者手帳についてと、補装具や日常生活用具の交付・貸与についてがあります。特に、秋田市以外で『給付・支給制度』について聞かれることが多いようです。
簡単に、補装具支給までの流れを説明します。
身体障害者手帳は、申請書→知事の指定する医師の診断書と写真(4×3p)・印鑑。この窓口は市町村の障害福祉課です。
1 身体障害者手帳と前年度の納税証明書(世帯全体)を福祉事務所へ
2 各社の見積書とパンフレットを添付して申請します。障害福祉担当へ
3 給付が決定すると、障害福祉担当から申請者と、各社へ通知書と給付券が送られる。
4 各社から商品が届く。
5 自己負担金のお支払いや給付券等の書類に署名・捺印。
※負担額は、納税額で各自異なります。
たとえば、視覚障害者用拡大読書器は198,000円と高価ですが、一割負担で購入できる場合が多いようです。また、盲人用(音声)時計は18歳以上の視覚障害2級以上の方となっています。詳しくは、各市町村にいろいろな条件についてご確認ください。
ちなみに、視覚障害の2級とは、「1.両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの」
「2.両眼の視野の和がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの」となっています。
日常生活用具の相談は、本校以外にも次のところで聞くことができます。
御連絡は、各市町村障害福祉担当か、
秋田県視覚障害者福祉協会(018-864-2783)、
日常生活用具:株式会社大活字ネットショッピング
http://daikatsuji.co.jp
24時間気軽に視覚障害者用便利グッズを見ることができます。

写真は、 弱視用ルーペと拡大読書器です。